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 植物を切る

前述の辞典のうち、白川静氏の『字統』が、とてもわかりやすい説明なので、引用させてもらいます。
あいかわらず変換できない文字ばかりですが。
改行は俺がしました。
19は画数です。[説文]っていうのが『説文解字』のことで、一四上は巻数。

『‘金産’19 
サン・セン
かま・ちょうな・けずる・いたがね
形声 声符は■
(産の上が文になってる字)(産)。
[説文]一四上に板金の意とし、また「一に曰く、鐵を平らかにす」とあって、その器とする。かんな・ちょうなの類。
[■
(土へんに卑)蒼]には株蘖(ひこばえ)を刈るものとし、鎌をいう。
草を刈ることを■
(産にりっとう)というのは‘金産’の省文に従うもの。
また■
(戔にりっとう)と通用し、戔とは平薄な板のことである。』

ほかの文字もあったわけです。
左側が産で、右側がりっとう(利の右側みたいに、「り」みたいなやつ)。
左側が戔で、右側がりっとう。
植物を刈り取るという意味をあらわすなら、これらの文字を使ってりゃよかったのかもしれない。

 

 ナタを鎌と勘違いしたか?

木を切ってしばらくたつと、根っこがまだ生きていれば、切株から小さい芽が生えてきます。
(ひこばえ)です。
ヒコは、和彦とか彦左衛門とかのヒコで、先祖の有名人から数えて曾孫にあたるという意味。
木の子孫が生えてくるから、ヒコバエ(孫生え)です。

太い木の枝が、好き勝手に伸びていくと、ほかの木や屋根とぶつかったり、冬に日射を遮ったりするんで、幹でスパッと切って、でもそこから、こまかい枝がびっしり生えてきたりするんですよね。
途中まで太い幹で、そこから上はこまかい枝だけっていうやつ、街路樹によくあるでしょう。管理がラクだから。
木を伸ばしてやりたい場合でも、ムダな枝がびっしり生えてるってのもムダなエネルギーなので、適当に間引いてやらないといけない。

蘖が、別のものをさしている場合、‘金産’もまったく別のものになってしまうのですが、その話は後述します。
ここでは、「木の切り株から生えてきた新芽」と解釈した場合について考えてみます。

こういう若い枝は、太くなってから切ると、切る人も木も負担が大きいので、早いうちに、なるべく根元から切るものらしいんです。

これを刈り取る道具が、‘金産’だということらしいんですよねえ。

植物を刈り取るにしても、鎌じゃなかったのでは?
引っかけて引くんじゃなくて、突いて切り割るのでは?

さっきから、「らしい」「かもしれない」「と思う」「なのでは?」とか、想像ばっかりでものを言ってて考察になってませんが、俺がそう思った理由は、次のページに書きますので。
その前にスペイドの話。

 

 西洋版の‘金産’?

西洋に、スペイドという道具があります。
スペード、スパイド、スパッドなどと書いてる本も見かける。

これは鯨を解体する道具だとか、船に積んでおいて武器にも使ったとか、いろいろ話は見かけますが、まだちょっと調べてる最中です。

 尖端はタガネ状

 □□□
 □□□□□‖■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 □□□  
                            石突はない

これは英和辞典なんかだと、踏鍬(ふみぐわ)などと訳されてますが、踏鍬とは全然違う。
踏鍬っていうのはスキの一種で、時代劇にたまに出てきます。
スペイドに似てなくもないですが、こんなやつ。

 頭部は木の板に金属刃をかぶせたもので
 尖端のフチだけほんのちょっとしか金属をつけてないこともあるし
 大昔は金属をまったくつけてないのもある
 ↓     ↓

 □□□□□□□□□■■            ■
 □□□□□□□■■■■■■■■■■■■■■■■■
 □□□□□□□□□■■            ■ 柄と取手は木製
            ↑
      ここを踏んづけて地面に突っ込むから踏鍬なわけで

 全体か頭部が、少し反っていることもある

踏鍬は、‘金産’の由来を調べる上では重要な道具なんで、後述します。

こういうノミ・タガネ状のものを突き当てて、蘖を根元から切り落とした場合、ものを刈り取っていたとしても鎌とは違うんじゃないですか?

 

俺がスコップ刃という言い方をしてるのは、こういう、マイナスドライバー状の切先ということなんです。
そのへんの話を次回。

 続く→ 

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