鉄を削る 中国は、鋳造に関しては世界一です。 古い資料ですが、第二回国際冶金史学会での、華覚明教授の『中国古代の金属文化の技術的特徴』という講演の概要が、田口勇博士の『鉄の歴史と化学』裳華房1988に掲載されてます。 ヨーロッパでは青銅器時代の晩期でさえ、まだ鍛造でやっていたが、中国では新石器時代の末期から鋳造していた。 つまり、それだけ温度の高い炉を作れて扱える技術と、さらに、鉄を鋳物にしただけじゃもろいから、壊れにくく作る技術が要る。 さらにもうひとつ、表面を仕上げる道具がないわけがないだろうと俺は思うんですよ。 その削り器具に、長い柄が必要かどうかは、また微妙ですが、この話は後述します。
ヤスリ? ‘金産’はヤスリだと書いてる辞書も多いですが、なんだか釈然としません。 『説文解字』が、‘金産’のことを もしかしたら、もともとはヤスリなんて意味はなくて、鉄を削るノミ、バイト、タガネ、キサゲだったのでは? たとえば、あなたがプラモを作る人だったら、パーティングラインを消したり、バリを取ったりする時、ヤスリでやってますか? ヤスリも鉄を削るから、という理由で、後世の人がヤスリという意味をあらわす時にも、‘金産’という文字を使ってしまったのか。 あるいは誰かが、「鉄を削るもの」と聞いて、「鉄を削るものといえばヤスリだぁ! ヤスリに違いない!」と、勝手に、ヤスリという言葉をどこからか持ってきて、ヤスリのイメージで説明したか。 よくあることなんです。 「ちょうな、かんな」 「牛肉」 もっとこまかいことを言えば、削るっていうのは、すくい角の正負、構成刃先の発生の有無、掻き取ってはがしているのか、切り込んで切り取っているのか、摩擦で粒子をこすり取っているのか、いろいろ違うんです。 ヤスリは、ヤスリなんだから、ヤスリです。 磨くと言っても、グラインダーやダイヤモンドからトクサや鹿革までいろいろあるわけで、中国人が、しかも明の時代に、どんな道具を使って、それをどんな漢字であらわしていたかというのは、なかなか面倒なことです(俺が調べるのが面倒という意味)。
次回は、ヤスリではない削り器について。 |
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