シャヴェル シャヴェルは、スキです。英語。 スキの話だけで、少なくとも、さらにもう2階層ごっちゃになってます。 漢字本来の意味では、「鋤」はクワ、「鍬」はスキ。 たとえば櫂に似た形状のものは、品物と使い方はスキだが、クワと呼ばれていたりする。 股鍬、備中鍬などと呼ばれる、先が3本フォークになったクワは、うちの地元ではただ単にスキです。 現代人が描いた明治期のスキヤキ発祥の想像図では、クワの上で肉を焼いている絵があったりする。 「油断もスキもない」とは、まさにこういうことであり、歴史や中国文化を考察してる場では、「鋤」と書いただけでは意味が通じないので、、面倒ですが、先に申し上げておきます。 シャヴェルは、尖端を突き刺して切り割っていくものだから、刃部の中央が一点集中で尖っていなければならない。 これをスペード型という意味で、スペードと呼ぶ人もいますが、それってスペイドのことだとすれば少し別のものなので後述します。 例外があって、雪かきスコップだけは、平たい刃先でも切り割っていけるから、シャヴェルでいいことになってます。 英語では、かなりハッキリした「シャ」の音です。 しかし日本では、ショベルと呼ぶ人も多い。 特に、油圧でやってるような自走の大型機械のシャヴェルが、パワーショベルと呼ばれてます。 子どもさんが砂遊びに使う小さいのは、シャヴェルかスコップかって言えば、尖っているんだからシャヴェルなんです。 親や保母さんが、スコップ片付けときなさいよとか、子どもさんに吹き込んでしまうこともある。 では、シャヴェルはすくう道具ではないのかというと、そうでもない。 「シャヴェルフル」、シャヴェルいっぱいにひとすくい分という、すくった量をあらわす言い方にもなっている。 戦車の備品でも、ツルハシ(鶴嘴)とシャヴェルがセットになっており、地面を切り割るのはツルハシ、それでほぐれた土をすくうのがシャヴェルという、役割分担になってるものなんで。 旧日本軍のマニュアルを見ると、ツルハシを十字鍬、シャヴェルを円匙(エンピ)と呼んでいて、やはり併用するよう書いてあります。 ※追記 ところが、先日、北原保雄さんの『問題な日本語』大修館書店2004を読んだところ、外来語というものは、取り入れられてすでに日本語になっているのであるから、原語を優先せずに、日本語として読みなさい、というような趣旨のお達しが、平成3年に内閣告示で出ているのだという。 下くちびるを噛んで「ゥヴェッ!」などとやらかすのは間違いで、ぼくドラえもん的な棒読みで「しゃべるぅー」と言うのが正しいのかもしれない。 「ミーのいた、おフランスではァ〜、シェッヴァ〜〜〜〜リエ?、ド?、クレルヴィ〜ルがァ〜、マレッシャァ〜ル?、ラッ?、フォ〜〜〜〜ルテのォ〜」なんて具合に、外国部分だけ妙にリアルな発音になってておさまりが悪いっていうのは、あんまり綺麗な日本語じゃありませんね。 それでいて、シリコンとシリコーンは使い分けなきゃいけないんだとか。ひー、難しいこった。 しかも、日本語において小さいイは、ティ、フィ、ディ、ウィ、クィ、ツィ、ヴィしか使えないというおふれも出ていて、フロッピィ、ファジィと書いたら間違いなんだとか。 こういうことを徹底していくのは大変なことで、わかっていても筆や変換の勢いで間違えたりもするし、俺みたいに明治大正の人たちに囲まれて育つと、ウヰスキィとか、スミスアンドウエッスンとか、ちょっと垢抜けない表記をしてるくらいのほうが、日本男児の文章としては味があると思ってるんですよねえ。 次回は、スコップ。 |
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