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 柄が猛烈に太い?

前ページで御紹介した、『武器と防具 中国編』の、図1について、特徴的なところを書きます。

この図は、縮尺スケールを添えてくださっている。
それによると、全長は3.2メートルくらい、
柄の太さが6センチ以上ある。
これでは、握った時に親指と他の指が触れることがありません。

ありえないものが本当にあるのが武術の世界なので、なにごとも常識や先入観で決めつけてはいけないとは思うし、わざわざ縮尺スケールまで添えて製図するってことがどういうことかは、俺も出版をやる者のはしくれだから、よくわかります。

しかし、こんな太い柄にする理由が、どうしても思いつかない。
両端が斧状だと、このくらい太くなければ強度が取れないってことかな?とも思いましたが、それなら厚めの鉄パイプで作ったっていい。
故宮博物院に収蔵されてる斧に、刃が青銅で、柄が鉄製っていうのがありますからね。
木で作るから、太くなければならないってことでしょうか?
俺が今までに見た一番太いものでも、中国武術の武器の柄の直径は3.2センチくらいです。

この図は3メートルのでっかいやつの場合ですから、普通サイズの場合、全体的に縮小なのか、つまり刃や柄まで小さくなるのか、それとも、刃の大きさや柄の太さは変わらずに柄の長さだけが短くなるのか、そのへんもよくわかりません。

武器の原則として、柄は長くなるほど細くなる、柄が長いほど刃は小さくなるっていうのが一般的です。
3メートル以上もあるのに、これでは、柄だけでもかなりの重量になる。

 

 柄がツルツル?

この図によると、‘金産’の柄は黒光りしてます。
スベスベのツルツル。
手ズレで黒ずんだテカりではなく、柄の全体がそうなっている。
ことによると、漆を塗ってるかもしれないくらい。
白木だったとすれば、黒檀くらいです。

どうして、わざわざ、こんな使いにくい表面仕上げになっているのか、理由がわかりません。
こんな重くて太いものは、ただでさえ、
取り落としやすくて困ると思うのですが。

この手の武器は、しごいて繰り出して使うのか、だいたいいつも同じ場所を握るのか、判断が難しいこともあります。
斧系の武器は、槍の技法を併用していることがあるので。
しかし、俺が知る限りでは、‘金産’の技法では戦闘中にあんまり端っこだけを握ったりはしないし、両端重くて長さ3メートル以上で太さ6センチ以上なんてのは、しごいて繰り出すものではないと思うので、すべり止めがあってもいいくらいだと思います。

原作の挿絵では、片手でギリギリ端を持っていたりするんですが、それならなおさら、すべっては困る。
いや、悟浄は人間じゃないから何でもかまわんが、生身の人間が使うんだったら、これは難しい。

 

 房は白?

この図によると、房はいずれも白っぽい感じに描かれています。
モノクロで表現した時にこのバルールならば、
カラーだったとしても白、せいぜい銀か、かなり白に近い灰だと思われる。

少なくとも、赤ではないようです。
これで赤ならば、相当うすい淡い色ということになる。

中国武術の房は、宗教的理由によって、黄色でもかなり濃い黄色、クローム系(オレンジに近い黄色)にするのが筋なので、この図のような見え方ならば、黄色でもないと思います。

 

 浮き彫りの地をヘアライン仕上げ?

この図によると、スコップ刃の鎬地を平行に磨いてあって、その上に浮き彫りが出ている。

(断面想像図)

    浮き彫り     浮き彫り    浮き彫りは梨地か艶消しらしい

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→ → ■■■■ → → ■■■■→ → → → 表面は一定方向に磨いている
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しかし、この本では他のページの図もすべて、定規の平行線タッチで陰影をつけています。
これが研目だとすれば、この本に載っているほとんどの武器は、間違った研ぎ方をしていることになる。

この図も、鑢目が軸線縦目という意味ではないと思われます。

 

次回へつづく。

 続く→ 

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