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 誰でも思いつきそうな説

玄奘三蔵法師より前にも、インドへお経を取りに行った中国人がいたことはいたんです。
晋や後漢の時代には、無事に帰ってきた人もいる。

インドと中国の間に、異教の異民族がいますよね当然。
これが先祖代々、中国僧をつかまえては殺し、荷物を奪っていたとする。
生活のために山賊やっていて、お経の価値もあんまりよくは知らない。
そこへ三蔵法師が通りかかる。
語学や哲学などに精通した知識人だから、相手を怒らせることなく、コンコンと善悪を説いて、改心をすすめる。
山賊にしてみれば、今まであんまりそういう教育を受けてないから、説教くらって心を打たれ、敬服もするだろうし、反省した勢いで仏教に改宗したか、もう追い剥ぎはしませんと誓ったか、そこまで感動したかどうかは知りませんが、とにかく三蔵法師が生きて帰ってこれたのは事実なんだから、途中で異教の異民族に渡し船を手配してもらったことは、そりゃ一度くらいあったでしょうね。

あるいは、その場の全員が味方になってくれなくても、そのうちのひとりでも口添えしてくれる人がいたかもしれない。

仏教は他宗教に寛容だから、山賊たちが今までやってた宗教は、それはそのまま信仰してもいいよ、そのかわり仏教も少しは尊重して、僧侶を通行させてやってくれよと、そのくらいは言ったでしょうね。

そこまでは、ありえることだと俺も思う。
玄奘三蔵法師は実際に旅の途中で盗賊に襲われたそうですからね。

しかし、そういうことがあったとしても、改心した人、お世話になった人、または、そういう人たちが本来信仰していた神様は、後世、仏教の経典の守護神になっちゃうかっていうと、そんな簡単なもんじゃないと思いますねえ。

状況証拠から、俺はもっとマシな説を持ってるので後述します。

 

 勘定に入っていない

般若経の「般若」は、知恵などと一応は訳されてますが、般若とは何かということがすなわち、空であり無であり、これがわかるんだったら仏教を極めたも同じだろうよというくらいに意味が深いことです。
俺もまだよくわからないし、どう言ったって言葉で言えることではないでしょうから、ものすごく簡単に言いますが、般若とは、本質を明らかにすることによって、あれこれ迷わずにすみ、誰もがスッキリ幸せへと到達するということのようです。
このコンテンツも、まさにそれをやってるつもりなんですけど、新たな謎が出てくるばっかりで、もう。

それでですね、「般若菩薩」というのがあります。
鬼じゃありませんよ、よく見かけるあの能面は、最初に作った人が般若坊という人だっただけ。
お面じゃなくて、般若(具体的には般若を説く経典、般若経、特に『大般若経』)を擬人化・神格化した、菩薩様があるんです。

この般若菩薩が、眷属として「大般若守護十六善神」というチームを率いている。

この16の神々こそが『大般若経』の守護神たちですが、これがまた、謎だらけ。
ほとんどは甲冑を着て武器を持ってるんですが、16すべて、聞いた事もないような神様で、経典によって名前も姿もまちまち、しかも、これは他の神仏の化身とされているんですが、本来の姿はどの神仏なのか(どれがどの神仏にあたるか)も諸説ある。

お経を取りに行って、旅先で親切に協力してくれた人たちがいて、後世まで恩義を忘れないために、それを神様扱いする(神仏が人間の姿に化けて現れて、道々で助けてくれたと解釈する)っていうことは、ないと思いますけど、もしあったとすれば、この16神がそうでしょう。

この16の中に、深沙神は含まれないんです。
梵天と帝釈天を加えて十八善神にする場合もありますが、なんにしても
深沙神はメンバーに入らない。

深沙神も『大般若経』の守護神だから、十六(十八)善神をお祭りする時には、たいてい、深沙神も一緒に図や像を配置することはするんです。
っていうか、世間で十六善神図と呼ばれてる絵は、実際には御釈迦様を中心に、菩薩4〜5名ほど並び、深沙神も玄奘三蔵法師も描かれ、その全体を左右から十六善神が囲んでいるものを言うから、都合23〜24体くらいの神仏が並ぶんですけど、でも深沙神は16セットのうちに数えない。
この点でも、深沙神だけが別格、なんとなくジョーカー的、いまだにヨソ者っぽいんですよね。

 

さらにややこしい話が、次のページからしばらく続きます。

 続く→ 

 

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