←もどる
あの李香蘭が出ている
東映エノケン版の『孫悟空』について。
このコンテンツは小難しい話が続いていたので、御紹介が後回しになってしまいましたが、じつは2年くらい前に観ました。
ミュージカルっぽい作りで、だいぶ原作と違ってます。
機関銃で戦ったり、ギャグ物だから、まじめに取り上げるものでもないですが一応。
沙悟浄を演じたのは、金井俊夫さん。
今で言うと、エスパー伊東さんにちょっと似た感じの人。
ここでも、やっぱり月牙‘金産’
この映画では、三蔵法師が任務を受けるところから話が始まります。
もちろん史実では、法を破って密出国したんですが。
そのシーン、唐の宮廷の衛兵だか儀仗兵だかの中に、月牙‘金産’を持ってる奴がいました。
太刀打がある 白っぽい蕪巻が5つ、笛藤状に巻いてある
↓
□□ ↓ 石突、一応あり
□□ ↓これだけはヒレヒレか?
□□○■○■○■○■○■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□□
□□
□□
┗━━━━━持ってる俳優の背丈(俺の目測)━━━━━━┛
刃は細め 輪はない
柄は黒い(黒いといっても白黒映画なんだが)
登場シーン
悟浄が初めて出てくる時は、こんな具合。
まず、流沙河と彫られた石の道標がある川岸の風景。
川の上は舟が普通に通行していたりして、あれ?と思う間もなく、次のカットでは、三蔵一行がもう舟に乗ってて、普通に川を渡ってやんの。
悟空が船尾で櫂をこいでいると、急に舟が動かなくなり、舟が揺れてぐるぐる回り出し、沙悟浄が舟の中に飛び込んでくる。
「ちょいと出ました俺様は 水の都で名も高い 河童の大王河童様 坊主頭の シャリコウベ 集め集めて 一万人の 回向しょうとて 現れた ケケケケケ〜ッ(注:笑い声。正確には、エエエエエ〜ッという感じ)」
というような歌を歌って自己紹介する。
「かわいいかわいい魚屋さん」という感じのメロディ、ヘ短調とみた。
上は長袖Tシャツのようで、二の腕にフリルがあり、胸には「来」という字を向かって45度左に傾けたような字が書いてあるが読めない。
下は学芸会の浦島太郎みたいなキラキラのビニールっぽい腰蓑。
首にドクロのネックレスはない。どっちみち、全員とっくに舟に乗ってますが。
この段階では、武器は持っていない(小さくして、体のどこかにつけてるんでしょうが、見た目には手ぶら)。
髪型はザビエル風、口はカラス天狗風。
日本の妖怪、河童…、にしては背中に甲羅はない。
日本において河童の容姿のイメージが固まったのはせいぜい江戸後期。
大昔はグレイタイプだったりガメラ風だったり、ニワトリみたいなのとか、相当いろんなのがあったんです。
だから17世紀くらいだったら沙悟浄を河童の範囲に含めてもさしつかえないのかもしれないけれども、しかし、別の理由で、沙悟浄は河童ではありません。
つまり、もともとの物語では、沙悟浄は川に関係なかったからですが、後述します。
仲間になりたいと言うんですが、悟空と八戒は拒否。
それで三蔵法師が、「お前が本当に心を改めたかどうかはわしが祈ってみればすぐわかる」と言って暗転。
次のシーンでは一行は市街地にいて、悟浄はすでに仲間になっていて服装も変化している。
それ以降のシーン
3人とも、服装はおそろいです。
肩にはヨダレかけというか、レンブラントの『夜警』のレースみたいな飾りがつき、ズボンの上にミニスカをつけたような。
悟浄の髪型もハゲがなくなり、口も人間になっている
(八戒のブタッ鼻も、登場時はひどくて、それ以降は軽減されている)。
そして、武器を持って歩く。
さっき宮廷のシーンに出てきた月牙‘金産’です。そのまんま。小道具を使い回し。
戦いぶりは…。
この作品って、大戦初期の中島かグラマンみたいなズングリした飛行機に乗って、空中戦をやっていたりするんで、沙悟浄の戦闘シーンなんぞは皆無に近いのですが。
一応、三日月刃を左上に引き上げて、石突のほうを前に向けて突こうとする場面がある。
そういえば、最も根本的な話をまだ書いてませんでした。
このコンテンツも終わりに近付いてきて、いろいろお話ししておかなければいけないことが多い。
次回。
続く→
|